オフショア☆~風を感じて駈けだしたことありませんか?~

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『燐火』 .。.:*連載 ブログ小説・゚☆.。.:*・ 第五部「勘太郎」--第七話




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ブログ小説 『燐火』 ~第五部「勘太郎」第七話~
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~第五部「勘太郎」第七話~

(今の時代。のあの物語)

のあの足取りは重かった。野々村家に待望の跡取りが誕生し、この上のない思いで、嫁の実家を訪れた。
しかし、ややは生後間もなく、嫁も産後のひだちが悪く、息を引き取った。

希望を失い失意のまま、ただ流れゆく時に身を委ねるしかなかった。

のあ:もう…生きる望みが…ない…

+。゚○・。.*゚・。.:.+゚・:..・。*・゚:.・○。.゚+。゚○・。.*゚・。.:.+゚・:..・。*・゚:.・F1007545_20121128234408.jpg


(今の時代。新之助とみうめの物語)

みうめ:とうちゃーん。さっきから新ちゃんの様子変なんだー。みうめが話しかけても、上の空で、お酒もぜんぜん口にしないの…
とっくり置いたままよ。何かあるのかなー


梅吉:野々村さん。。野々村さん!

新之助:ん?ああ梅吉。

梅吉:如何なされたのでございますか?先ほどから何かお考えのようで。

いや、何でもない。もう…わかった。そう…、考えても考えても。考えてもわからない。
はぁ?
所詮この世は金…
金のためなら、その男の色に染まる女。金のための自分を売る女。金のために命を落とす女。そして、大店の看板を手に入れた女。

所詮金なんだ。所詮…


新之助は、絵恋、りん、らん、愛莉の顔を思い浮かべた。

しかし、そんなに金を集めてどうするのだ。うまい飯か?簪か?着物か?
なぁ梅吉、教えてくれ!


はぁ?


ちくしょー!
新之助は、グイっと酒を飲みこんだ。そしてとっくりを一気に呑み干し、うつ伏せになって、泣き叫んだ。

梅吉:野々村様、今日はもぅその辺にして。きっとお疲れなのですよ。一晩寝れば、また気持ちも落ち着きますよ

新之助:おりん。おりんはきっと、既にそれに気づいていたんだろう。俺はやっとそれに気づいた。そうだ。

新之助はおりんが言った言葉を思い出した。


……心と心が結びついて初めて夫婦だって…
しんちゃんとあたしは、心と心がつながっているの!
あたし、体は買われても、心までは買われていないの。

しかし…


わかっている。やはり金だ。おりんちゃん。俺は金で!お前を買うぞ!

+。゚○・。.*゚・。.:.+゚・:..・。*・゚:.・○。.゚+。゚○・。.*゚・。.:.+゚・:..・。*・゚:.・F1006119_20121128234407.jpg


あの日以来、山手はまた緋衣のもとへ通うようになった。

緋衣といるとなんだか楽しい。男としての自信も漲り、日々の生活でも充実した気持ちになる。
一方新之助は、あの日を境に以前のように真面目に、いや、それ以上にお役目をこなした。

山手:野々村さん、最近、仕事に精がでますなー

新之助:はい、山手殿。私は「わかった」のです。ですから、まずはお役目が大事に。

山手:何をわかったのですか?

新之助:まーそのうち山手さんもわかる時がきますよ。では、書庫の整理に行って参ります。

山手:はぁ。「わかった」ことがよくわかりませんが、、、、わたしもお手伝いしますよ!

山手は、また女郎屋通いをしていることを新之助には打ち明けていないが、緋衣と過ごす楽しい時間のことを聞いて欲しかった。そして、それをわかってくれるのは、新之助しかいない。
F1007173_20121128234407.jpg

山手:野々村さん、実は(ヒソヒソ)、

新之助:何ですか?山手さん小声で。聞こえませぬぞ。もそっと大きな声でお願いします。

山手:いやぁその、、、ここでその…大きな声では、ちょっと…

新之助:お役目中ですぞ。

山手:それはわかっているのですが…。

新之助:では、みうめちゃんのところで話しましょう?

山手:いや、それも…、いや困った。

新之助:先に行きますよ。

山手:ちょ、待ってくださいよぉ~

新之助:てっちゃーん!ははははは!
+。゚○・。.*゚・。.:.+゚・:..・。*・゚:.・○。.゚+。゚○・。.*゚・。.:.+゚・:..・。*・゚:.・

みうめ:しんちゃん!最近、てっちゃん忙しいの?みうめにあまり会いに来てくれないんだー

新之助は、昼はお役目に打ち込み、帰宅前には、梅吉の店に来る毎日を送っていた。

新之助:みうめちゃん。山手さん、忙しそうだよ。今日も誘ったけど行くところがあると言っていた

みうめ:ふーん、ちゃんとお役目してたんだ!よしよし!
みうめてっちゃんが、またお女郎さんのとこに行っちゃったんじゃないかと心配だったんだー


新之助:はははは実はねみうめちゃん。あまり大きな声では言えないけど。
私たちは今、特別な任務を任されてて、それには探りが必要なんだ。だからおっと!

いくらみうめちゃんでも言えないよぉ

みうめ:ええっ!そうなんだ!てっちゃんなんだかかっこいい!

客:おーい!酒!

新之助は、店の客を見回すと腰を上げた。



第五部「勘太郎」--第七話 終わり


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『燐火』 .。.:*連載 ブログ小説・゚☆.。.:*・ 第五部「勘太郎」--第六話




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ブログ小説 『燐火』 ~第五部「勘太郎」第六話~
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~第五部「勘太郎」第六話~

(今の時代。山手鉄蔵の物語)

山手:おっとここだ!緋衣いるかなー

番頭:おや!これは山手様。ご無沙汰しております。緋衣でございますね!おります。ささ、どうぞどうぞ!

山手:いやー、そのーなんだ。見回りだ。違うんだ。なんていうかぁ…

番頭:久しぶりで会うのが、お辛いのですね。大丈夫でございます。緋衣も首を長くしてお待ちしておりました!

番頭:ささ、どうぞどうぞ!

山手:あいや、そのちょっと、それじゃぁ…店の中の見回りをするかな、

山手は女郎屋の言われるがまま背中を押され、店に入って行った。
始めは困惑した面持ちであったが、途中から満更でもない顔つきになっていった。

番頭:緋衣を呼んできなさい。山手様がお越しになったと。

暫くして…

バタタタタ

てっっちゃーん!

バタタタタ、ガラーピシャ!

襖が開くと、そこには満面で笑みを浮かべる緋衣。

てっちゃーん!!

そう言うと…

緋衣:え‥え…

手で顔を覆い泣き始めた。

山手:緋衣、どうしたんだ?

え‥え……わーーーん

山手:緋衣、泣いてちゃわからん。どうしたんだ。
んん?


緋衣:だってだって、てっちゃんが緋衣のこと忘れて…

山手:忘れてなんかいないよ。ほら!ちゃんとまた来ただろう。

緋衣:きっと違う女のとこへ行ってたんだーわーーーん

違うよ違う。

山手はそう言いつつも、みうめの顔が浮かんだ。
そして、みうめにも同じ思いをさせたことを思い出した。
しかし、緋衣のいたいけな気持ちを現す姿に、押さえきれない感情を覚えるのであった。

てっちゃんのバカぁ、え‥え…

緋衣ごめんよ。

緋衣じゃないもん。姫衣だもん。

あ、

姫衣って呼んでくんなきゃやだもん。わーーーーん

姫衣、、、

もうどこにも行かない?

ああ、もちろんだ。

嘘だー、てっちゃんのこと待ちすぎて、ひい、首、長くなっちゃたじゃないかー

え、ええーーー!

ほら!

緋衣は、首を長く伸ばす仕草をして山手に見せた。

あああああ!首がなが‥

あはははは!てっちゃんひっかかった!

緋衣をひとりにした罰よ♪きゃははははは!

そんな緋衣を山手は愛おしくて仕方がない。



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(今の時代。新之助の物語)

野々村新之助:おい与平!絵恋はどこだ、絵恋を出せ!

与平:これは野々村様!突然に如何されましたか。

絵恋に会いたい、絵恋を出せ!

野々村様、気持ちはお察しいたしますが、本日はもう閉門の刻でございます。しまいでございます。

何!お前口答えするというのか!?いいから絵恋を出せ!

いくら野々村様のお申し出でもお聞きできないこともございます。

なにー!!!

新之助は、与平の胸ぐらを掴んだ。
しかし、すかさず荒々しいやからが出てきて、忽ち新之助を羽交い締めにした。

野々村様。ここは花街でございます。
大門が閉まりますと、ここは町奉行の力が及ばない町となります。
これ以上お騒ぎになりますと、二度と生きては出られないことにも…

ささ、どうぞお引き取りをお願いします。


+。゚○・。.*゚・。.:.+゚・:..・。*・゚:.・○。.゚+。゚○・。.*゚・。.:.+゚・:..・。*・゚:.・

(今の時代。新之助とみうめの物語)

みうめ:あ、新ちゃんだ!新ちゃん来てくれたのー!みうめ嬉しい♪

新之助は、絵恋が自分を裏切ったことにやり切れない気持ちでいっぱいだった。

また女郎屋に通う石田なら、身請けについて理解してくれると信じていた。しかし、ここでも反対され不貞腐れていた。とにかく酒が飲みたくて、みうめのとこに来たのだ。

みうめ:あれれ~、今日はてっちゃんと一緒じゃないのね。わかった、てっちゃんに内緒でみうめに会いに来てくれたのね♪やったー!

新之助:ああ、酒を頼む。

みうめ:あーい!

新之助は、店の中から道行く人をぼんやりと眺めていた。

月の光。人影はいろいろな姿に映った。

人が人として映るはずなのに、人ではないものに映る。
時として鬼や獣。
同じ人影でも、人がある(いる)場所で、違う影となる。影に見える。

しかし、確かに、その人はそこに居る。
人は、外見は変わらなくても、中見は、その時その場所でそれぞれ変わるものなのか。
俺も俺ではないのか。

“りん”に会っている時の俺。絵恋に会っている時の俺。
互いの女に悟られぬよう確かに違う俺だ。
俺も月影に照らされると違う影が映るのか。

しかし…


新之助は、りんの言葉を思い出した。

「あたしにとって、新ちゃんはとても大切なお方。あたし、夫婦って、一緒に住むことだけじゃないと思うの。心と心が結びついて初めて夫婦だって…
体は買われても、心までは買われていないの。」


りんは‥おりんちゃんは、すっかり外見が変わってしまった。

しかし、心は真っ直ぐなままだ。あの頃の“おりん”のままだ。

いったいどうして。

いったいどうすれば。

ここに居る俺は誰なんだ。



・・いやぁすっかりやられたなぁ。

ああ最初は調子よかったんだけどなぁ・・

そうそう、あの“四一(ヨイチ)の半”からツキが来たなぁ。

ああ、四一といえば、俺様の出目だ!与一(よいち)だから、四一!
まったくだハハハハハ


しかし、結局は、あれだ。あの四六(シロク)の丁。



第五部「勘太郎」--第六話 終わり


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  1. 2012/11/21(水) 00:15:01 -
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『燐火』 .。.:*連載 ブログ小説・゚☆.。.:*・ 第五部「勘太郎」--第五話




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~第五部「勘太郎」第五話~

(昔の時代。寧々の物語)

「旦那様とずっと一緒にいたい…」

寧々が越前屋にそう伝えてから、寧々は越前屋から声がかからなくなった。
ここから出たい一心で訴えたこと。
これまで女を使って生きてきた寧々が考えに考えた一策。

越前屋から声がかからなくなったが、しかし寧々には確信があった。
越前屋は考えていたのだ。決して若くはない越前屋にとって、後継ぎの問題は大きい。

妻に先立たれ、その寂しさを忘れるために商売に没頭してきた。商いが成功するにつれ、言い寄る女も後を絶たないが、亡き妻への想いと、用心深さゆえ、いつの間にかこんな年に。
女は遊びと割り切っていたが、思わぬ知らせに心踊っていたのである。

子供は何より欲しい。

しかし、女郎の子供。世間の目が気になる。やはり寧々が言うように妙な噂がたって、商いに影響が出たら元も子もない。本当に自分の子供なのか。多くの男に抱かれる女郎。どこの誰の子供かわからない。

しかし、越後屋は、自分の子供と信じて疑わないのである。

「あの寧々が自分に嘘をつくわけがない」

女郎は、男の好みによって変わる。その男に都合のいい女になりきる。寧々もまた、越前屋の前では従順で、良く気のつく女だ。体が自然にその男のものになるのだ。
越前屋は、ややに、もしものことがあったらと、寧々を呼びつけないのだ。そして、寧々はそれを知っている。越前屋がそうすると知っていたのだ。

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寧々は機会を伺っている。
次の思案を行う日をじっと待っているのだ。
そして、ついにその日がきた。

ザーーーーーザーーーーー

杏奈(台所):すごい雨ねぇ、寧々、親方がお呼びよ。

つわりもひどく、体も芳しくないが、キリッとした面持ちで立ち上がった。

親方:寧々や井筒屋さんがお呼びだ。そのうち使いの籠が参るので行って参れ。

深々とお辞儀をして、

寧々:それでは仕度をして参りまする。

寧々には、多くの上得意がいる。
際立って器量が良いわけではないが、透き通る白い肌と麗しい黒髪。そして何よりも、その男にとって、都合の良い女になりれきる。

幼い頃からここで育った寧々には、それが当たり前のように身についている。
遊郭の中で生き残る術なのだ。

井筒屋も、あの慎重な越前屋も、大店といえど寧々の前では、そこいらの男と同じ。

男は、「女(寧々)が自分に惚れており、自分の言うがままになる。」

と思い込んでいるが、実は寧々が男を操っているのだ。




寧々:旦那様、実はお話しがあります。

井筒屋:なんだい寧々。何か欲しいものがあるのか?なんでも言ってごらんなさい。

寧々:実は…

寧々は困った様子で目線を下げた。

井筒屋:実は何だい?

寧々:さるお方から、身請けのお話しを頂戴いたしました。
とても有難いお申し出でございますが…


井筒屋は驚いた顔で寧々を見た。その言葉が小さな口元から出るやいなや井筒屋は慌てて…

井筒屋:だ、だれだ。そんなことを言うのは!お、おまえは…寧々はわしの、わしの女だ!

寧々:なんと嬉しいお言葉。寧々は嬉しゅうございます。


旦那様もご存知のとおり、寧々は井筒屋様がこの世の誰より愛しゅうございます。いつ何時もあなた様のことを想っておりますのに…

+。゚○・。.*゚・。.:.+゚・:..・。*・゚:.・○。.゚+。゚○・。.*゚・。.:.+゚・:..・。*・゚:.・

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(今の時代。新之助と石田の物語)

新之助は、石田を訪ねた。

石田光長:お!新之助ではないか!久しぶりだのう。少しは腕が上がったか!?ハハハハ

新之助:石田、お前こそ腕が鈍ってはおらぬか!?女にうつつを抜かして!ハハハハハ

石田:どうした。おまえが来るとは、何か心配ごとがあるのではないか!?
また勘太郎様と上手くいってないのか?


新之助、言葉を濁した。

どうだ?石田。絵恋とはうまくいっているのか?

ああ、そのことか。心配ご無用。俺様の絵恋は、あいも変わらずいい女だ。天真爛漫という言葉がぴったりの、まさに理想のおなごだ。

そうか。

何より、一緒にいると元気になる!もちろんあそこもな!ハハハハ
叶えばずっと一緒にすごしたい。


そうか!

新之助は目を大きく開いて石田に応えた。

この間も馬になって遊んでやったわい。そしたら…

石田も新之助と同じく、女郎屋通いをしている。
偶然にも同じ名前”絵恋” に惚れ込み、心奪われている。

んん?確かお前も絵恋というおなごんとこに通っておったな、絵恋のことで悩んでいるのか?うまくいっておらんのか?

う…ん。

新之助は小さく頷いた。

んん?そうか…、それなら違う女に乗り換えたらいい。

女郎は捨てるほどいる。きっとまたお前に合うおなごに巡り会えるさ。
あ、ただし俺の絵恋には手を出すなよ!
もっともお前には乗りこなせないと思うがな、ハハハハハ


身請けしたいんだ。

み、みうけー!

お前なぁ、女郎は遊びだぞ。本気になったら負けだ。あいつらの思うツボ!
金をどんどん巻き上げられて、何も変わらない。最後はどっかに消えていなくなるのが落ちだ。悪いことは言わない。止めときなさい。こことあそこは世界が違うんだ。考えなおせ。


しかし…

困ってるんだ。助けたいんだ。遊びじゃないんだ。

真剣な面持ちで石田に訴えた。

そうか…、何を言っても無駄なようだな。

身請けとなると大金が必要だ。その相談か?
悪いが俺にはそんな蓄えはない。

この時代にそんな大金があるのは、大名やどこぞの大店、あとはやくざな商売をやってる奴らくらいなもんだ。
第一お前のお父上の勘太郎様が許すまい。お前んとこは、代々続く由緒ある武家だろう。
なぁ新之助、何ども言うようだが、身請けなど考えるな。


石田は、新之助の肩を両手でつかみ力を込めて訴えた。

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(今の時代。山手鉄蔵の物語)

山手:しかし、野々村殿にも困ったものだ。女郎なんぞに現を抜かすとは…
いやまてよ。困っているのは、野々村殿ご本人かもしれない。
しょーがねーなー!


みうめ:なーにが、しょーがねーなー。なの?

山手:あははは、みうめちゃん!聞こえた?

そんなに大きな声で喋ったら、聞きたくなくても聞こえちゃうわよー
ところで。なんか“女郎”とか聞こえたけど…

まーさーかぁ!!!


いや、そのぉなんだ。女郎なんて言ってないよぉ

言い訳するとは怪しいなー、まさか“また”お女郎さんのとこに行ってるんじゃ!

いやー行ってないよぉ、だってほら!毎日ここに来てるじゃん!な!な!な!

ふーん。で、なにがしょうがないの?

いやそのぉ…

ほーらやっぱり怪しい。

うーん。。。

みうめちゃん。ぜったい内緒だよ。


実は野々村さんが困ってて…

え、そーなの?

うん、そこで、おいら山手鉄蔵様がひと肌脱いで力になってやろう。しょーがねーなー!
なんだよ!


あ!そうなんだ!
てっちゃん!すごーい。見直した!しんちゃんの力になってあげてね!


客:おーい、酒!

みうめ:あーい!

山手:あーあぶねー。ここは野々村殿の力になってやるか!
まずは、野々村殿をたぶらかすその女に会って確かめるとしよう!




久しぶりの花街は、賑やかで、灯篭の灯りがよりいっそう女の妖艶さを映し出していた。

DCF00097_20121112220630.jpg

いや~久しぶりだな~。やはりココは、浮世の世界。俗世間を忘れるわい。
おおそうだ!俺の“緋衣(ひい)”はどうしているかなぁ
せっかくだ、ちょっと店の前まで行ってみるかな。

あ、いや、店の前を通るだけだから!
あくまで野々村殿のため。みうめも「力になってあげてね!」って言ってたじゃないか!
こんなにまでする俺をみうめも見直すだろう。

そうそう仕方なくここに来たんだ。俺が好きで来てるんじゃない。


などと腕を組んでブツブツ呟きながら歩いていたが、気が付くと“緋衣”の店の手前まで来ていた。

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女郎屋通いをしている石田ならわかってくれると信じていたが、本気の気持ちを分かってはもらえず、新之助は、何ともやりきれない気持ちでいた。

何より、自分が心寄せている女のことを悪く言われたのが、たまらない。

そして、同じく幼馴染の“りん”の身の上も話せず、どうしていいか…

奉行所のお役目も身が入らず、帳簿の整理との理由で一日中書庫に篭って座り込んでいた。
新之助は、もう全てが嫌になった。

奉行所がひけると、真っ直ぐに家に帰る気にはなれず、月明かりの中、ぼんやりと歩いていた。ただただ…

賑やかな声に気がつくと、そこは花街の入口であった。

“りん”や絵恋には正直会いたい。しかし、会う気にならないでいた。

女郎屋には、しばらく足が遠のいていたが、月の光に導かれるように、いつもの道を歩いていた。

もう少しで絵恋のいる女郎屋。するとあちらから石田が歩いてきた。

石田:おお新之助ではないか!今日も絵恋はよかったぞぉ。なるほどお前が女郎を身請けしたくなる気持ちもわからんでもないわ。ハハハハハ

新之助:(もしや石田の言う絵恋と、俺の絵恋は同じ女郎なのか!?)石田、お前どの女郎屋だ?

石田:んん?なんだ?お前、俺の絵恋に手を出そうというのか?よっぽど“おなご”好きだ。

しかし、絵恋は俺様にぞっこん惚れてるから、お前なんぞ相手にされんわ!ハハハハハ


新之助:どこだ!どこなんだ。

石田:なんだよ、めんどくせーやつだな。酔っぱらってんのか。ほれ!あそこだよ。


そう言って、新之助が通う女郎屋を指さした。

新之助:嘘だ!そんなことはない、

そう言い放って、新之助は女郎屋へ走りだした。

「あなた様だけをお慕い申しております」

という絵恋の言葉が頭を過ぎった。

愛莉ならずも絵恋までも俺(新之助)を裏切ったのか。

いろいろな思いが錯綜した。

行き交う人が行く手を阻みなかなか前に進めない。

女郎屋への道筋は、とても長く感じた。


おい与平!絵恋はどこだ、絵恋を出せ!


第五部「勘太郎」--第五話 終わり


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『燐火』 .。.:*連載 ブログ小説・゚☆.。.:*・ 第五部「勘太郎」--第四話




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~第五部「勘太郎」第四話~


(昔の時代。勘太郎と母親“のあ”、嫁“うい”の物語)

のあ:勘太郎、留守を頼みますよ。

勘太郎の母親“のあ”は、そう言うと足早に野々村の家を後にした。

勘太郎の嫁“うい”は出産のため、里に帰っていたが、男子が誕生したとの知らせがあった。
野々村家にとっては、待望の跡取り。一刻も早く、この目に収めたい。

のあが婿養子を取り、どうにか野々村家を存続させたという経緯もあり、のあは家を守る厳しさを知っている。
それだけに、跡取りを産むことは、この時代の女にとって、最も重き役割となる。
そしてそれがその女の価値ともなった。

既に父は他界し、野々村の家を守る勘太郎にとっても面目が立ち安堵した。しかし…

“のあ”が“うい”の生家に着くと、そこには赤子の泣き声はなく、すすり泣く声しか聞こえない。

ういは、床に伏せっていた。

のあ:“ういや”

うい:お母様…

やつれた“うい”は、やっとのことで起き上った。

のあ:ややはどこぞに?

うい:お母様、ややが、ややが‥

その一言が精いっぱいで、あとは声にならなかった。

子供は生後高熱が続き、不憫にも三日で息を引き取った。この時代では決して少なくないことではあるが、期待が大きかっただけに“うい”の心境は耐え難いものであった。

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(今の時代。新之助と山手の物語)

山手鉄蔵:いやー厄介な仕事ができましたなー。野々村さんご存知でしたか?

野々村新之助:・・・・・

山手:そうですよね、知りませんよね。んん?野々村さん!

山手は、新之助の肩を揺すぶりながら、
野々村さん!どうされたんですか?また女郎のことですか?

新之助:シ!声が大きい。山手殿、この間の話しだが…

山手:金のことですか?それなら申し訳ないですが…。

新之助:そうか…。

山手:いや、だって、そんな大金持ってたら、仕事しませんから!奉行所なんて辞めちゃいますよ。ここ最近田中様に怒鳴られてばかりで本当に嫌ですわ。
ほんとに大金持ってたら、侍やめて、”みうめ”とこう…  

あれー!?野々村さん!行かないでくださいよー!


山手:賭博の下調べに参りましょう!ああ、いいなー賭博、そんな遊ぶ金があったらなーハハハ。

新之助:山手さん賭博って、どのくらいの金が動くのでしょうか。

そうですね。場にもよりますね。まぁ私らの安給金の何十倍、何百倍もの金が動くのは確実でしょうが。あたしもバーンと儲けてみうめと、ハハハ。


ちょっと野々村さん!また、待ってくださいよー。冗談ですよ、博打は御法度、やりませんよー。野々村さんも変な考え起こさないでくださいよー。
無理無理、勝てないようになってるんですから!


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(今の時代。新之助と”りん”の物語)

りんは、慣れない生活で、すっかり萎えていた。体調も悪く、日に日にやせ細っている。

りん:新ちゃん、あたし母に会いたいの。一生ここから出れないのは、やっぱり嫌。
身を売ったときにあれほど決心したのに…。

人って、人との結びつきが大事なのね…。横になりながら、弱々しく笑った。

新之助:ああ…。

りん:新ちゃん。

なんだ?


何を考えているの?最近、何か考え込んでいるみたい。あたし、何もできないけど、聞いてあげることはできる。言ってみて…

か細い声で、それでいてしっかりとした口調で、つぶやいた。

(新之助、心のつぶやき):りんは、こんなひどい境遇になっても、他人のことを思いやることができるのか…

どんな仕打ちをされても、俺のことを考えてくれるのか!

誰を恨むでもなく、自分の中のぎりぎり精一杯で生きている。

新之助:なぁ“おりんちゃん”。一緒に住まないか。

え…

夫婦にならないか?


新ちゃん…

嬉しい

でも、あたしは女郎。借金だって一生働いても返せるかどうか。。。

到底ここから出られないわ…。
気持ちだけでも嬉しい。


心とは裏腹に気丈に振る舞うりん。そんなりんを新之助は愛おしく思えて仕方ない。

もしかして、ずっとそれを考えていてくれたの?だったら…。
だったら、とっくに夫婦よ!

あたしにとって、新ちゃんはとても大切なお方。あたし、夫婦って、一緒に住むことだけじゃないと思うの。心と心が結びついて初めて夫婦だって…

しんちゃんとあたしは、心と心がつながっているの!
あたし、体は買われても、心までは買われていないの。だから…


新之助は健気な“りん”が愛おしく、思わず抱きしめた。強く。

おりんちゃん!

新ちゃん!

初めて抱いてくれたわね。

嬉しい。



新之助の太い腕にあたたかい雫が滴った…


第五部「勘太郎」--第四話 終わり


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  1. 2012/11/07(水) 00:15:48 -
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『燐火』 .。.:*連載 ブログ小説・゚☆.。.:*・ ”登場人物紹介とあらすじ”




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ブログ小説 『燐火』 ~登場人物紹介とあらすじ~
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いつもcaptainブログ、ブログ小説「燐火」を読んでいただきありがとうございます。
「燐火」の連載は、当初数回で終わる予定でしたが、とても反響があり、推敲を重ねた結果、おかげさまで二十話を超えるまでになりました。
「燐火」の構成は、「過去と現在の物語が、同時進行」しているという特徴があります。
また、登場人物も多く、それゆえ物語が分かりにくい部分があるかもしれません。

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今回は、登場人物と簡単なあらすじをつづりました。
ずっと読んでいただいている方々も、初めて読む方々もぜひご一読ください。
今後も「燐火」をよろしくお願いします!


【過去の物語に登場する人物】
●野々村勘太郎
新之助の父。妻を病気で亡くし、父親ひとりで、新之助を育てた。しかし、新之助の女郎屋通いに頭を悩ませている。

●寧々
女郎屋に生まれ、女郎をしている。おしろいのにおいに亡き母をしのび、男に抱かれる毎日。だがそれが寧々の世界。花街を抜け出した折に傘を貸してくれた男に思いを寄せる。

●のあ
野々村勘太郎の母。婿をとり野々村家を存続させた。何よりも“家”を守ることが第一。

●越前屋
寧々を贔屓にする大店。一大で財を築いたが、跡取りがいない。
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【現在の物語に登場する人物】
●凛華(おりん)
この物語の主人公。大蔵屋の一人娘だったが、ひまを出された母と共に大蔵屋を出た。今は、女郎屋の見世女郎で、日々客をとっている。
愛莉が大蔵屋の女将になっていることを知らない。

●野々村新之助
奉行所に勤め、父野々村勘太郎に女郎屋通いをとがめられているが、絵恋太夫に心を奪われている。太夫のもとへは、野々村家の貯えをくすねている。
女郎屋の見世女郎“凛華(おりん)”とは幼ななじみ。幼いころよりほのかな思いを寄せている。

●愛莉(あいり)
新之助が思いを寄せている花魁。しおらしく控えめな女。新之助の前から突然姿を消してしまったが、大蔵屋の女将となっていた。大蔵屋を切り盛りし、旦那思いで、よく気がつき、理想の女将となっている。

●絵恋(えれん)
花魁。新之助の前では、しおらしく健気な女。新之助の理想の女となっている。小柄で色白。
一方、石田の前では、活発な女となり、石田とは子供のような無邪気な振る舞い。
新之助の前と石田の前では、絵恋は違う人格となる。そして、新之助と石田は、それぞれ思いを寄せている絵恋が、同一人物とは知らない。

●石田光長
不知火流剣士。新之助とおりんとは幼なじみ。新之助と同じく、太夫の“絵恋”のもとへ通っている。強面の石田も絵恋には弱く、活発な絵恋に心を奪われなすがままである。

●山手鉄蔵
新之助の同僚。居酒屋の娘“みうめ”に惚れている。落ち込む山手は、みうめに元気をもらっていた。しかし一方で、みうめと同じ振る舞いをする女郎“緋衣(ひい)”に心を奪われ、女郎屋に通っていた。

●みうめ
居酒屋の看板娘。気だてがよく、元気いっぱい。山手に思いを寄せている。しかし、山手が女郎を好きなことに気づくと、家出をして女郎になろうとした。

●梅吉
みうめの父。山手とみうめが、互いに好いているのをわかっているが、身分の違いから、みうめを嫁にだせず悩んでいる。

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●緋衣(ひい)
直(なお)の前では、京女。山手の前では、みうめと同じく気だてがよく、元気いっぱいの女となる。山手には、自分は、大名の姫(姫衣)であると思いこませている。

●直(なお)
髪結い。遊び人。夜な夜な女遊びをしている。幼いころに母と生き別れとなった。京都弁の緋衣に母の面影を感じている。緋衣の膝枕と子守唄が好き。

●雲雀(ひばり)
女郎屋のまかない(台所)。雲雀だけは、「女郎達が、相手をする男の好みの女になりきることができる。」ということを知っている。女郎達とは仲良く、性格も明るい。




◆ここまでのあらすじ◆

【過去の物語】

寧々は、女郎屋で生まれ、女郎屋で育った。母は病で亡くなり、女郎の身支度であるおしろいに母を感じ、男に抱かれる毎日を過ごしている。寧々にはそれが普通の生活。花街の他に行く当てもなく、塀の外の世界は知らない。これが当たりまえの生活であった。
ある日、客から聞いた“祭り”が見たくて、花街を抜け出した。
帰るころには、大雨となり、鼻緒も外れ、泣きべそをかきながら歩いていたが、男が
鼻緒を直し、また傘を貸してくれた。寧々はその男に想いを寄せていた。
ある日、偶然にもその男と再会する。その男は、奉行所のお役目つく“勘太郎”。
寧々は、妊娠したが子供を堕ろさず、越前屋にそのことを告げる。


【現在の物語】

野々村新之助は奉行所に通う青年。
厳しい父のもと、母の顔を知らずに育ったせいか、いつしか女郎屋に通うようになった。
美しく妖艶な“愛莉”に思いを寄せ、毎日のように通いつめていた。愛莉は理想の女であった。しかし、愛莉が突然目の前から姿を消してしまう。

愛莉に会わせろと女郎屋番頭の与平につめよったが、会うことが叶わず、怒りが収まらない。代わりに座した“絵恋”。絵恋は、愛莉とまったく同じ立ち居振る舞い。そして気遣いで、新之助にとって、まさに理想の女。心を奪われてしまった。

そんな中、幼馴染の“りん”と出会った。りんは、“凛華”として女郎屋で働いていた。
翌日りんの生家である大蔵屋を覗くと、そこには新之助の前から消えた“愛莉”が女将として店を手伝っていた。
りんは大蔵屋からひまを出された母らんと一緒に長屋住まいをしていた。
母らんは、慣れない生活で体をこわし、生活のため持ち物を売りだした。しかし、売るものがなくなり、ついには、“らん”が自らを売ったのである。
愛莉が、自分の父親を虜にして、大蔵屋の女将になったことは知らない。

新之助は、父勘太郎に女郎屋通いをとがめられ、幼なじみの石田に打ち明けたのだが、石田も女郎屋に通っているという。しかも贔屓(ひいき)は、同じ名の花魁(おいらん)“絵恋”。
しかし、絵恋のことを話すと、まったく別人の絵恋であった。
新之助の前では、しおらしく健気な女。新之助の理想の女となっている。小柄で色白。
一方、石田の前では、活発な女となり、石田とは子供のような無邪気な振る舞いで、はしゃぎまわる娘である。
しかし、実は絵恋は同一人物である。

同僚の山手は、毎日の辛いお役目の帰りに、うさを晴らしに居酒屋に立ち寄っていた。
目的は、看板娘の“みうめ”。みうめの元気でくったくのない笑顔に山手は心を和ませた。
しかし、ひょんなことから、女郎屋に行き、そこで、“緋衣”太夫の虜になってしまう。
緋衣は、山手の前では、みうめと同様‥元気いっぱいの笑顔で、山手も元気をもらい、毎日の糧となっている。
みうめは、山手に思いを寄せているが、身分の違いから父梅吉に嫁入りを反対されている。
いつもは毎日のように会いに来てくれた山手をただひたすら待っている。

髪結いの“直(なお)”は、毎日のように女遊びに明け暮れている。京女の母の面影を追って、緋衣に会いにくる。緋衣は、直の前では、優しい京女となる。

そう…ここの女郎達は、相手をする男の心に入り込み、その男が欲する“女”になりきることができる。男が好む女になるのだ。そしてこのことを知っているのは、女郎屋のまかない“雲雀”のみ。

新之助は、凛華(りん)の元に通うようになる。
新之助は、りんに幼い頃からの想いがある。女郎屋に通って、女郎の凛華を贔屓にするが、新之助の内なる思いは、幼馴染の“りん”会いに来ている。
そのため、“りん”と一緒に過ごす時間には、りんの体を気遣い休ませる。日々男に弄ばれ疲れている“りん”を休ませるのであった。そして、新之助は一度も“りん”を抱かない。
母“らん”への伝言を預かったが、らんは既に亡くなっていた。新之助は、そのことを“りん”に告げられずにいる。

新之助は、りんを身請けしたいと考えていた。


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  1. 2012/10/29(月) 21:50:18 -
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